書籍や雑誌の編集をしていると、デザイナーに作図を依頼する際の簡単なラフ図の作成が必要になるときがあります。
以下は、某出版社で作成した「M&A」に関する書籍を編集した際に作成した貸借対照表(バランスシート)から会社の売却価格を算定するというのをイメージした図です。
もちろん、このまま本に載るわけではなく、あくまでもデザイナーに作図してもらうための見本なのであまり上手とはいえませんが、とりあえず図の意図が伝わればOKというレベル。
エクセルの作図には、「smartart」という機能があってそちらを使えば比較的簡単に作図できますが、作りたい図がどうしてもsmartartでは作れないというときもあります。
まずは、「smartart」を使わない図の作成手順です。
①図版のタイトルをつける
上の図の①から⑦までを順番に解説します。
まずは図版のタイトルです。ちなみに、上記はM&Aで会社を売却するときにどうなふうに資産価値が評価されるのかというのを貸借対照表っぽくして図版化したものです。
- 上の図のように「挿入」から「図版」を選び角の丸い「四角」を選びます。
- 図版の上を右クリックしてテキストの編集をクリック
- テキストを入力します
- 図版の右側の「○」をクリックこのときカーソルが「←→」になってるのを確認して横に引っ張ると横幅が調整できます。同様に縦幅も調整します。
- 図の上で右クリックして「塗りつぶし」をクリック。好きな色に変更します。ついでに枠線の色も調整しましょう。上図では、枠線なしにしています。
- 最後に天地左右の中央に設定してタイトルは完成です。
②四角い囲み図を組み合わせる
続いて②の四角い図の組みあわせ方です。
- 「挿入」から「図版」を選び、ここでは「テキストボックス」を選びましょう。
- テキストボックスは、枠線も背景色もついていないので、そのまま文字を入力します。
- 図版を作成する際は、エクセルの枠に直接文字を入力するのではなく、このようにテキストボックスを作って文字を入れたほうが場所を移動しやすいので便利です。
- 続いて、「挿入」からまた図版を選んでもいいんですが、ここでは前に作ったテキストボックスをコピーして使います。
- テキストボックスの枠に合わせてキーボードの「Ctl」+「C」でコピーで「Ctl」+「V」でペースト(貼り付け)です。文字を「資産」に変えます。さらに「○」の部分を引っ張って大きさを整えましょう。
- ここは枠をつけたいので、枠を右クリックして「枠線」をクリック。
- カラーパレットが表示されるます。「自動」をクリックすると黒になります。さらに「太さ」をクリックして太めの線を選びます。
- 「負債」と「資本」の部分もコピペして、同様の作業を繰り返して作ります。
- ちなみに、図を左右上下に移動する際、マウスを使って大まかに位置を決めたら、キーボードの←→↑↓を使って図を動かすと微妙な調整ができます。
③縦書き表示と完成
テキストボックスには横書きと縦書きがあり、「縦書きテキストボックス」を選ぶと、入力した文字が縦書きで表示されます。
- 「挿入」から「図形」を選択、「縦書きテキストボックス」を選びます。
- 枠内に文字を入れると縦書きで文字が入力されます。
- テキストの枠の部分を右クリックして下の「図の書式設定」をクリック
- 上右のようなウィンドウ(もしくはエクセルの右側に表示されることもあり)がでてくるので、右側のテキストボックスをクリック。配置を調整したり、横書きに調整することもできます。
- ここまでできたら、あとは同じ作業の繰り返しです。
- 枠をコピペして、大きさを調整し、配置はカーソルで微調整しながら合わせていきます。
決してできの良い図版とは言えませんが、最初に書いたようにあくまでもデザイナーさんに図を作ってもらうときのもの。図の意図さえ伝わればよいのです。
で、完成したのが下の図です。
色分けや視覚化囲みを点線にしてもらったりなど、こちらの意図はきちんとデザイナーさんに伝わりました。
④smartartを使ってみる
以下は応用編です。
EXCELに限らず、PowerPointやWordなどMicrosoft製品で使えるsmartart。
図版を作るときにササッとできて、とても便利なツールです。
上記のような図は作れなかったりもしますが、図版を作るときは、まずは「SmartArt」でできないか? 考えます。
そのほうが、簡単に図版を作れますからね。一通りSmartArtをチェックして無理そうだったら自分でイチから作るという手順を踏んでいます。
でも、smartartのどのグラフィックを使うのが最適か? これを探すのにけっこう手間がかかってしまったりします。
[SmartArt グラフィックの選択]ギャラリーは以下の通りです。どんなグラフィックが用意されているのか見てみましょう。
目録や一覧などの「リスト」
連続性のない情報を並べて表示するもので、いってみれば、EXCELなら普通の表組みでも作れるようなものもあります。
ただ表組みではちょっと味気ないので、グラフィックに表現したいっていうときに使う感じでしょうか。
36種類ものリストのグラフィックがあります。
例えば以下をsmartartで作ると
マイクロソフトのソフト
エクセル
ワード
パワーポイント
プロセスやタイムラインのスタンプ、フローチャートなどの「手順」
一般的には「→」(矢印)で、何かの流れやプロセス、ステップを解説するときに使います。
フローチャートも同様に作業の手順や流れの解説ですが、一般的にフローチャートを書く時は「→」が一方向ではなく、途中で枝分かれしたり、ショートカットしたり、もとに戻ったりなど複雑流れにすることが多いものです。
残念ながら、smartartにはそうしたグラフィックはありません。
なので、「階層構造」のグラフィックを少しアレンジしたり、図の機能を使って、図形を組みあわせて作るようにしています。
手順のグラフィックは44種類あります。
例えば
smartartで作図する手順
挿入→スマートアート→手順→選択→文字の入力
連続的なプロセスと、繰り返し図の「循環」
リサイクルの解説図であったり、循環バスの路線図とか。あと時計(時間)なんかもぐるっとひと回りしますね。
SmartArtの「循環」は、こうした一般的なサイクルだけでなく、丸みを帯びたグラフィックが含まれています。
図形というととかく四角っぽかったり角張ったものが多いので、全体のグラフィックに変化をつけるために、あえて丸みのある「循環」を使ったりすることも多いです。
例えば
ダンボールのリサイクル
使用→回収→加工→流通→……
組織図の作成や意思決定ツリーなど「階層構造」
上下関係のある組織図というのが一般的です。社長と専務、部長…とか、リーダーとメンバーとか。
ちなみに、ツリー構造とも言われ上にも書いたとおりフローチャートを作るときにも応用できます。
階層構造のグラフィックは13種類あります。
例えば
会社の組織図
社長
常務 専務
営業部長 経理部長 総務部長
バランスや対立、包含など関係性を現す「集合関係」
複数の人や要素の関係性を示した図です。37種類ほどのグラフィックがありますが半分近くは「リスト」や「循環」「階層構造」などと被ってたりします。
例えば
家計の収入と支出のバランス
収入…給与、株式、不動産
支出…家賃、食費、交際費
ジョハリの窓、SWOT分析など「マトリックス」
縦軸と横軸にそれぞれ要素を配置する表のことで、グラフィックしたのがsmartartのマトリックスです。ジョハリの窓やSWOT分析など、ビジネス書をよく読む人にとってはお馴染みの図かもしれません。
重なりの部分に着目して自らの位置を判断したり、目指すべき目標設定などに使われます。
ただし、ジョハリの窓やSWOT分析のグラフィックをSmartArtのグラフィックでつ作ろうとすると少し追加が必要になりますので、そちらはまた別の機会にご紹介します。
組織図、関係性など「ピラミッド」
上の階層構造のように、社長を頂点に役員と社員がいて……、などの組織図によく使われます。
上は偉さとか優位性を示し、下に行くにしたがい劣位となります。
また横幅の広さが数の多さですので、ピラミッド構造の上位は少数かつ優位性が高く、下は大多数かつ劣位であるといえます。
これを逆ピラミッドにして上から「顧客」「従業員」「役員」で一番下に「経営者」を置くなんていうケースもあります。
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